おうちで楽しめるお取り寄せグルメ。コロナ禍も相まって、これまで旅先でしか味わえなかったグルメやスイーツで旅行気分を味わえることもあり、人気を集めています。そんな中でも、現地に行かないと食べられない味はまだまだたくさんあり、今回ご紹介する「賞味期限2時間のクレームブリュレ」もその一つです。トロトロなクリームとカリカリのカラメルの対比が絶妙なクレームブリュレは、北海道・札幌にあるフルーツサンド専門店「Majisand(マジサンド)」1店舗でのみ食べられます。
なぜフルーツサンド専門店で、賞味期限が2時間だけのクレームブリュレは生まれたのでしょうか。それは、「ちゃんとしたものを食べてほしい」と願う、笹川さんの思いとバックグラウンドにありました。今回は、クレームブリュレの美味しさの秘密と、ここでしか味わえない「ブリュレソフトクリーム」。そして、笹川さんが描いている未来についてご紹介します。
パティシエがこだわり抜いたフルーツサンド専門店
クレームブリュレが買えたり、食べられるお店といえば、洋菓子店やイタリアンレストランを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
北海道・札幌には「賞味期限2時間のクレームブリュレ」を味わえる場所があります。その名も「Majisand」。「パティシエの本気サンドイッチ」という看板が目印の、フルーツサンド専門店です。
メインの商品はもちろんフルーツサンド。「パティシエの本気」とうたっているだけあって、生地・フルーツ・生クリームには強いこだわりがあります。
しっとりふわふわ、ケーキのような食感を目指した生地は、種類もプレーンだけではなく、チョコやアールグレイの茶葉を練りこんだものなど、フルーツとの相性が考えられています。
▲ ショーケースには、まるで宝石のようなフルーツサンドとクレームブリュレが!
フルーツは冷凍のものや缶詰は一切使わず、約9割が国産。そして、生クリームは濃厚な味わいながらスッキリした後味のある、北海道産を使用しています。フルーツによっては、クリームに日本酒の大吟醸を合わせたり、オリーブオイルやはちみつを合わせるこだわりぶりで、店外まで人が並ぶほどの人気店です。
トロトロとカリカリ、絶妙なバランスの対比
そんなMajisandの定番商品として販売されている一つが「賞味期限2時間のクレームブリュレ」。焦げるギリギリを狙って炙ったカラメルのカリカリ感と、レアな状態に近いトロトロなアパレイユが絶妙なバランスでマッチ。二つの食感が絶妙に口の中で混ざり合い、あっという間に食べきってしまいます。
注文後にその場でキャラメリゼしてくれるので、カリカリ感と香ばしさがダイレクトに伝わるのがポイント。一般的に使われているカソナードではなく、鹿児島県・喜界島産で有機栽培した黒糖をまぶしているので濃厚な甘味と深みが出るのだそう。
バニラビーンズ以外の原料はすべて北海道産。食べ終わると底に粒が残るくらい、たっぷりとバニラビーンズが入っています。
これまで食べてきたクレームブリュレとは全く違う体験が楽しめる「賞味期限2時間のクレームブリュレ」はどのようにして生まれたのか。Majisandを経営されている、株式会社エンクル 代表取締役の笹川 円(ささかわ まどか)さんにお話を聞きました。
もともとはケーキ屋に並ぶ人気商品だった
− フルーツサンドをメインにしたお店をオープンされたのは、なぜですか?
もともとケーキショップとジェラート専門店を経営していて、スイーツを試食する機会も多かったんですよね。ある日、フルーツサンドを食べるきっかけがあったんですが、あまり「美味しい」と思えなかったんです。
自社で生地、フルーツ、生クリームを扱っていたこともあって、試しにフルーツサンドを作ってみたら、とても美味しかった。フルーツサンド専門店はベーカリーやカフェ、フルーツ屋さんで作るのが一般的で、パティシエが作るというのは聞いたことがありませんでした。
そこで、本当に美味しいフルーツサンドを食べられる専門店をオープンすることにしたんです。
− フルーツサンドがメインのお店でありながら、クレームブリュレを商品に選ばれたのは…?
自社のケーキショップの商品としてクレームブリュレを出していたのですが、それがとても美味しかったんです。バブルの頃はイタリアンレストランでデザートとして食べることが多かったようで。そういった年代の方々に馴染みがある食べ物で、若い方はあまり食べる機会がなかったかもしれません。もっと多くの人に、クレームブリュレの美味しさを知ってほしいという気持ちがありました。